わかり合えないオタクたち

次々と新たな2.5次元作品が生み出されているご時世。
その度に、舞台化される作品界隈では、その作品の2.5次元化についての議論が活発になります。
今後も消えることがないであろうこの議論について、今回は触れてみたいと思います。

2.5次元作品には欠かせない”原作”とそのオタクの存在

2.5次元舞台は、原作があってはじめて成立するジャンルです。
そしてその原作には、もともとの原作ファンがついています。
原作ファンがそれまでその作品を支えてきたからこそ、舞台化が実現したといっても過言ではありません。

制作側も、舞台化した際に原作ファンのうち一定数が観劇することを見込んでいます。
つまり、2.5次元舞台にとって、原作を支えているオタクの存在は無視することができない大きな存在なのです。

必ず存在するアンチ舞台派

原作ファンのなかには、そもそも二次元を舞台化することに抵抗があるアンチ舞台派の人たちがいます。
その理由は人それぞれですが、原作であれほど完璧なキャラクターを再現できるわけがない、あのキャラクターは唯一無二の存在だから舞台化でもう1人存在するのが許せない、などなど。
いずれにしても、原作への大きな愛があるからこそ、舞台化が許せないのです。

キャラビジュアルへの批判

舞台化が地雷の人たちは、滅多に劇場に足を運んで実際の作品を観ることはありません。
演技やキャラクターの作り込みという部分ではなく、キャラビジュアルが批判の対象になりがちです。

公演前に公開されるキャラビジュアルは、そのほとんどが稽古開始前に撮影されています。
そのため、俳優自身もまだキャラクターを把握しきっていない場合が多く、原作ファンの肥えた目からすると納得いかない部分が多いのかもしれません。

また、制作による写真の加工のセンスがイマイチな場合もあります。
そうなると、より一層キャラビジュアルへの批判が集まることになってしまうのです。

キャストへの批判

2.5次元化が発表されると、多くの原作ファンが自分の好きなキャラクターを演じることになるキャストについて調べます。
過去の出演作やその際のビジュアル、演技の評判など、自分の推しキャラを演じるのに相応しいキャストかどうかを見極めるためです。
その際、過去に炎上している人物だと、キャストに対しての批判も強まります。

いいイメージのない俳優に、自分の大好きなキャラクターを演じてもらいたくないという気持ちはもっともです。
とあるミュージカルに抜擢されたキャストが、過去の違法行為が流出し、それに対する批判が制作に殺到したため、キャスト変更になったという出来事も過去にはありました。
この”降板事件”のこともあり、気に入らないキャストを降板に追い込もうと熱心に批判を繰り返すタイプの原作ファンも少数ではありますが存在しています。

キャストのオタクvs原作のオタク

2.5次元舞台は、原作のファンと出演キャストのファンが支えています。
劇場に行けば、双方のファンが同じ空間で同じ作品を観劇します。
劇場に足を運ぶ原作ファンは、舞台化に対して肯定的なファンがほとんどですが、ネット上ではそうではありません。

人気作品ほど、キャストのオタクと原作のオタクとで、”バトル”が繰り広げられています。
よく”学級会”などと揶揄されていますが、観劇マナーや原作の知識などを巡るやり取りは、お互いに平行線のため結論が出るわけではありません。
2.5次元ジャンルが続く限り、この対立の構図が消えることはなさそうです。

まとめ

ひとつのジャンルとして地位を築きつつある2.5次元舞台。
原作がある以上、原作ファンが必ず存在します。
原作ファンとキャストのファンでは、舞台に対するスタンスや捉え方が違うため、埋まらない溝があるのは仕方がないかもしれません。
あとは各自が、自分にとって不要な批判などを目にしないよう自衛することが、このジャンルを楽しむための秘訣ではないでしょうか。

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