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イノサンミュージカル。

2019年年末から、2020年の年明けまで、舞台界隈を騒がせた舞台作品。
あの騒動から約一ヶ月たった今、結局あれはなんだったのだ?ということをまとめてみました。

『イノサンmusicale』

「イノサン」『週刊ヤングジャンプ』で13年~15年に連載され、現在は続編『イノサン Rougeルージュ』を『グランドジャンプ』で連載している漫画作品で、コミックス発行部数が150万部(電子版含む)に上るほどの人気を博しています。

時は中世、18世紀のフランス革命で国王ルイ十六世の首を刎ねた死刑執行人シャルル-アンリ・サンソンを中心に、サンソン家の過酷な運命を描いた物語となっています。

舞台版は主演キャストに中島美嘉、古屋敬多(Lead)、梶裕貴(Wキャスト)、武田航平(Wキャスト)、小南満佑子、荒牧慶彦、鍵本輝(Lead)、多和田任益、貴城けい、前山剛久、佐々木崇、林明寛、太田基裕、浅野ゆう子と、脇を固めるキャストも豪華に豪華を極めたものでした。

会場はヒューリックホールです。
2.5次元の舞台ではよく使われる会場なのでなじみのある方も多いでしょう。

2019年11月29日~12月10日までの東京公演に続き、2020年2月9日に聖地フランス「パリ公演」を控えていました。

原作人気に加え、ここまでの豪華キャストですから、舞台化の話が出たときは当然に期待されていました。
今思えば、若干の不安要素を抱えつつも・・・でありましたが。

幕があけてからの評価は皆さんご存知のとおり、

『虚無』

流れる口コミは激高した批判でもなく、みな生気を失ったかのような「ガッカリした」という虚無の感想ばかりです。
検索欄のサジェストには「イノサン」と入力すると必ず付いてくる『虚無』。
そして、その虚無を抱えながらも乗り切った東京公演後、パリ公演まで一か月を切った2020年1月14日に、『パリ公演の中止』が発表されました。

こういった界隈全体の騒めきから「イノサンとはなんぞ?」と関心を抱いた人もいらっしゃったかと思います。
ではイノサンのどのへんが、いったい何が虚無だったのか?
本コラムでは、その部分を整理していきましょう。

虚無1『舞台そのものが虚無』

この点については、皆様も恐らくご存知でしょう。

謎の現代高校生演出が最初と最後に入る。
客席にいる現代人に向かってのお説教舞台。
肝心の中世の内容も『漫画のダイジェスト』でしかなく、『2.5次元舞台』とはとても呼べない。
などなど・・・。

ここまで豪華なキャストを集めておいて、どうしてこうなったんだと。
一部では、そもそものキャスト一人ひとりは豪華だが噛み合わせが悪そう、との声もあり、実際そうなってしまったのだと思います。

そのような噛み合わせを調整するのが本来の『演出家』の仕事なはずなのですが、この舞台の、内容の虚無は確実に『脚本家』『演出家』が引き起こしたものだったと思います・・・。
それに関しては、後の第3項目でまとめてみましょう。

とにもかくにも、多くの虚無批判の中にあったのは『キャスト一人ひとりは熱演していた、悪くない』ということです。
私もそう思いますし、この舞台に関して、キャストさんが謝罪する姿を見ると原因であろうスタッフ、運営を恨まざるを得なくなりますね・・・。
キャストさんは悪くないのです。

虚無2『諸般の事情でパリ公演中止』

先述したとおり、2020年2月9日に控えていたパリ公演の中止、理由は諸般の事情から。
運営と提携しているJTB経由でのパリツアーを申し込んだ人には全額返金する、ということでしたが、現地集合のプランもあり、お客さん自身でパリまでの飛行機を確保している人もいたとのこと。
公演まで1ヶ月を切った上体での発表、パリまでの飛行機のキャンセル料となると安くはないでしょう・・・。
なぜもっと早くお知らせできなかったのか、自費飛行機組は泣き寝入りなのですから、この対応にも批判が集まっています。

東京公演が終わるや否や一部キャストの降板が発表され、代役の説明もないまま嫌な時間を過ごしていると「いつの間にか中止になっていた」という地獄のような状況でした。

中止の「諸般の理由」ってなんだよ、とそれが明かされていないことも更なる批判を呼んでいます。
これまでのキャストの話や関係者の話からの推測や、報道されている内容から、恐らく以下のような内容のようです。

・スケジュール調節ミス、連絡不足
・キャスト自身による降板の申し出
・マネージャーの渡仏は実費
・舞台を取り仕切った女性プロデューサーとの軋轢
・資金不足
・フランス、パリの国内情勢

どこまでが本当なのか、この中に真実があるかは公式から発表されない限りわからないものですが・・・どれも多少は関係がありそうですね。

イノサンをここまで虚無で有名にした原因はこの以上の2項目だと思いますが、ではどうしたそうなったのか?
その原因になったであろう虚無を以下の項目で整理します。

虚無3『舞台スタッフが虚無』

演出:宮本亜門
脚本:横内謙介・宮本亜門

演劇界隈で宮本亜門と言えば、ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎などジャンルを超えて国内外で演出を手がける名のある演出家でした。
それがいったいどうして、あんなことになってしまったのか・・・。

百歩譲って、あの原作を2時間半の脚本にまとめるのは難しかったでしょう。
ですが、演出に関しては流石に「ちょっと・・・」という声が多いようです。

無駄な客降り演出だったり、原作のエログロの、エロばかりを強調された内容。
客を争議に参加させる起立、客を怒鳴りつけるなど嬉しくないお客様参加型舞台に、謎ラップ。

わたしが他の虚無サン感想を見ていて一番納得してしまったのが「脚本家演出家が2.5次元舞台とその客を馬鹿に、軽く見ているようにしか見えない」という感想でした。

確かに宮本亜門さんにとって初めての2.5次元、原作物の舞台でしたから、色んな悩みや苦労があったと思います。
しかし元々ストレートプレイの演出家ですから、最近の舞台で持て囃されている2.5次元をいい目で見ることができなかったのではないでしょうか。
ここまでくると、もはや憶測にしかすぎないところですが・・・。

イノサンに関しては公式発表がほぼないため、ほとんどが推測になってしまいます。
企画・運営のJnapi L.L.C.も、一年以上サイトがリニューアルの為更新されておらず、どのような団体か分からない運営でした。
今となっては、このような結果になったのも、頷けてしまうような気がします・・・。

虚無4『軋轢を生んだ女性プロデューサー』

これは、先程の中止の理由にもありました。
結論から言うと『原葵』さんという女性プロデューサーの名前があがっています。

スケジュールや渡仏に関しても彼女が関与、発端となっているらしく、Twitterで話題になっていました。

公式発表後のご本人の釈明が、ファンからは「自分の汚名返上を必死にしているようにしか見えない」など、火に油をそそいでいる様子です。
舞台のオタクとして思うのは、今後もこの『原葵』さんが2.5舞台に関わっていくのかどうか、ということです。
今回と同じ様に、推しの俳優が巻き込まれていくのだけは勘弁ですね・・・。

まとめ

目まぐるしく移り変わっていった騒動の全てを詳しく書くことはできませんでしたが、いかがでしたでしょうか。
「2020年始まって早々の虚無舞台No.1はイノサンであった」と笑い話になるようであれば、どんなに良かったことでしょうか。
イノサン東京公演のDVDは予約が始まっているようですが、この調子の運営できちんとしたDVDになるのか、そもそもが届くかどうか。

舞台自体は終わってしまいましたが、今後も動きも気にしていく必要がありそうです。

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